こんにちは!ミラノの工です。
今日は前回に引き続き、ヴァチカン市国内にあるヴァチカン宮殿から「ラファエロの間」をレポートします。
ラファエロ・サンツィオは、盛期ルネサンス期を代表する画家であり、建築家です。
宮殿内にある、教皇の居室として使用されていた4つの小部屋の内装を
ラファエロとその弟子が担当したそうです。
それぞれの部屋の面積は小さいのですが、壁画と天井画が迫ってくるように感じました。
カトリック教会の教えに基づく「世界の秩序と調和」という基本テーマを、
人間の理想である「真善美の称賛」 というかたちで表現しています。
ちょうどこの時代は、ネオプラトニズムの思想がキリスト教に取り入れられ、
文芸・美術にも大きな影響を与えていたようです。
こちらは、教皇の図書館として使用されていた部屋の壁画の一枚、「アテネの学堂」です。
興味深かったのは、絵のテーマや構図、そして当時実在した人々を、歴史的哲学者や科学者に置き換えて表現していることです。前回レポートした「サン・ピエトロ大聖堂」の新築プロジェクトに関わった芸術家であり、ラファエロにとっては先輩画家であったミケランジェロや建築家のブラマンテ、レオナルド・ダ・ヴィンチや自分自身も絵画に登場させています。制作当時25歳という若き天才の知性とともに、ユーモアも感じられました。
「アテネの学堂」は見れば見るほどいろいろな発見があり、ラファエロの…というよりは西洋古典絵画の代表作品といえます。なお、「アテネの学堂」の下絵用のデッサン(Caltone)はミラノにあるアンブロジアーナ絵画館に展示してあり、こちらもかなり見ごたえがあります。