ヴァレンティノ本店デザイナーとの出会い③

皆さんこんにちは!ミラノの工です。

前回の続きです↓

帰り道、一瞬の出来事にボーッとしながらモンテナポレオーネ通りからマンゾーニを横切り、アルマーニカフェ前の石畳を踏みしめながら歩きました。

 

「3日前まで憧れて見ていただけのヴァレンチノ本店のディスプレーデザイナーと知り合い、ランチしながら仕事の話をするアポが取れた」

 

まさかの早い展開にまだあまり状況が飲み込めない状況です。一瞬ですが、かすかに「死の覚悟」をした単身ミラノと渡航中往路の心境を思い出しました。

「まさか、まさか、まさか。。。!!」

 

何度も繰り返しました。その状況に舞い上がってしまってどうやって帰宅したかあまり覚えていません。その夜ベッドに入ってすごく嬉しさが込み上げてきました。心の底(というかお腹の奥が近い?)から「生きている、充実している、ミラノに来て良かった」と思いました。冷静さは全くなかったと思います。

その週にご一緒したランチはミラノの地下鉄緑線のMOSCOVA駅前の「Radetzky Cafe’ミラネーゼに人気のサラダが有名なオシャレカフェです。テラス席に二人で座っていただきました。

source @radetzkymilano

「スタージュ生を雇うのは嫌なの。きちんとお支払いをしてフェアな関係でしっかりお仕事してもらいたい」と、マルタさん。

 

「私もただ働きは3ヶ月経験しました。もうやりがい搾取の仕事はしないと決めています。」

自分でも驚くほど冷静に伝えました。

 

お互いのバックグラウンド、やってきた仕事の内容、毎日の生活や仕事のペース、私のイタリア語のレベルなどを伝えてコラボが決まりました。

大体の賃金交渉と私が取得していた納税者番号などのナンバーを伝えて

私は百貨店やSCのショーウィンドーを中心に日本で活動した後ミラノにきてミラノサローネのお手伝いやミラノの路面店のディスプレーデザインをやってきたことを伝えました。一方マルタは映像やインスタレーションなどアートに近い仕事をしていることがわかりました。その時もインスタレーションの活動の場としてNYやロンドン、また東京にも興味があると言っていました。

 

 

(上記のロゴは私が描いた手書きのラフ案からイラストレーターファイルにしたもの。右側は実際のウィンドーです。)その次の週から私はインスタレーション、ディスプレーデザイナーマルタの自宅でヴァレンチノのショーウィンドー製作の仕事を手伝うことになりました。彼女の自宅兼事務所はMoscova駅の近くで私は自転車で通いました。彼女もGaribardiの私の家に来たりして何度か一緒にヴァレンチノやフォリフォリのショーウィンドーデザインを一緒に考え、アイデアを練り、素材を研究し、資料を抜粋したりしながらフォトショップやイラストレーターでプレゼン用の資料を製作したりしました。

その後何シーズンか一緒に仕事した後、彼女は仕事でNYに旅立ちました。彼女にはデザインの起こし方や「美」「空間」「素材」「プレゼン」などについて色々と教わったと思っています。私のヴィザの種類から時間に制限があったりなんの保証もない一人暮らしの日本人女性と一緒に仕事をしようと思ってくれたマルタには感謝の気持ちしかありません。

今まであった中で一番クールな女性だったことは間違いありません。おそらく私の中で永遠の憧れ。

彼女の家族のことなどについても色々語ってくれたマルタ。